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続・移調楽器の憂鬱

Pict0111r前回、C調楽器の人たちには、記譜音と実音が違う事がわかっていただけない、と書いたが、特に分かっていただけないのは、記譜と指使いがリンクしてて、実音だけが違うという事。つまりアルトリコーダーみたいに、記譜の”ド”の指使いは、ソプラノリコーダーでいう”ソ”の指遣いと同じ、という覚え方だと、記譜と実音があってて、指使いだけが違う、という事なのだが、クラリネットの場合は、A管だろうがB♭管だろうが、記譜が”ド”なら指遣いは一緒で、出てくる実音が違う(A管なら”ラ”(A)、B♭管なら”シ♭”(B♭))となる。

クラリネット同士で会話している間はいいのだが、他の調性の楽器と会話をする時には、当然、実音は何なの?という話になる。あるいはアナリーゼして、和音分析とかしてる時、実音に置き換えて、自分が3度なのか4度なのか、という事になる。なので、常に、記譜はこうだけど、今 ~管だから、実音はこれこれ、という事を常に意識しているのである(いや実は、私は恥ずかしながら、B♭管の記譜と実音の対応はすぐに出てくるが、A管の記譜から実音への変換は暫く考えないとできない)。

で、ここからはかなりローカルルールなのかも知れないが、何となくいちいち”記譜の”~、”実音の”~と言い分けるのが面倒になってきて、自分の中では、ドレミで話すときは記譜の話、C,D,E (ドイツ読み)で話すときは実音の話、という癖がついてしまっている。ご存じのとおり、日本ではなんとなく3種類の音名(ドレミ・・、CDE・・・、ハニホ・・・)がそれぞれ生き残っていて、特に作曲家の国籍で(イタリアならドレミとか)言い分けるでもなく、なんとなく独自のルールと混沌が(その辺は”絶対音感”(最相葉月:著)にも載ってますが)あるわけなのだが、我ながら変な感覚がついてしまったなぁと。そこはローカルルール、楽器屋さんが言うキーの名前は、記譜に合わせた表記で cis-gisキー(クラリネットは、倍音が2倍単位じゃなく3倍なので、同じ指の1つ上の倍音は12度上になります:この辺はまた後日) とか言ったり、指揮者の方が実音を”ドレミ”で言ったりする訳で、それって実音を言っているの? 記譜を言っているの? と、大半の人には分かっていただけない質問をする事になる。いわんや読みかえ移調の場合おや。

この憂鬱を分かっていただけるだろうか? C調の皆様方。


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移調楽器の憂鬱

Pict0114x
気がつけば、1年以上も更新してませんでしたね。ちょっと心を入れ替えるよう、努力しますです、はい。

閑話休題

先日、某テレビ番組(初級の楽曲アナリーゼをやってくれる、最近の私のお気に入り番組)を見ていた時のこと。リストのラ・カンパネラがテーマだったのだが、(知らなかったのだが)今普通に聞くラ・カンパネラは第3稿だという事で、1稿2稿との比較をやっていた。で、2稿と3稿との大きな違いは、♭7つ(変イ短調)か、#5つ(嬰ト短調)かの違いがあるとの事。お気づきかと思うが、2つは異名同音(名前は違うが同じ音)。出てくる音程に違いはないのだが、でもやはり演奏者としては感覚的に違うとの事で、やっぱりフラット系は落ち着いた感じ、シャープ系は角度がある感じ、と言われてました。そこは、楽譜を見た時の感覚として、とても共感するのですが・・・

ふと思えば、自分は移調楽器。普通のC-Durでも、B♭管ならシャープが2つつく。しかもクラリネットは、A管と持ちかえという裏ワザがあるのだが、ある程度#が多くなるとA管に切り替わって、今度はフラット系に突然変わる(たとえば D-Durだと、C調の人たちは#2つだけど、A管だとフラット1つ)。しかも時折理不尽な持ちかえ要求に耐え切れず、A管でB♭譜面を吹いたり逆をやったり、C管はあんまり普及してないからC譜をB♭管で吹いたり、なんでもあり。これでは、落ち着いたとか角度があるとか、そんな事を考える暇もない。もとより、作曲家はおそらくC調楽器をベースに調整の感覚を取っていると思われ、ひどいとプロコフィエフみたいに、スコアも in C で書かれ、パート譜は、A管用とB管用の2つがあったりする。うーむ、移調楽器は、調性感はどうでもいい、って事ですかね? と拗ねてもみたくなるというものです。

C調の人たちには、何度話しても、記譜の音と実音が違う、という事が理解していただけない、まして移調しながら吹く必要があるという事は、悲しいかな想像していただけないのです(お陰で、びっくりショー的に感心はして頂けますが)。この調性の矛盾と憂鬱を僕らはどうすればいいのでしょうか?

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